チャンスの前髪:間借りカレー日本を救う
先日NHKの番組で、日替わりでシェフが入れ替わりカレーを出すお店の話題が紹介されていた。間借りカレーとかシェアレストランと言う名前がつけられていました。
すでに東京ではビジネスとして成功しているようで、これから全国展開も勧めている感じ。
ググってみると、すでに大阪でも4店舗が検索できました。
お店はスナックの店だったり、小規模の喫茶店 のような あまり大きくない規模で展開されていました。
厨房でシェフ一人と接客アルバイト1人ぐらいでやれる規模です。
この間借りレストランというジャンルも今後伸びていくのは間違いないとおもう。
特に外食をはじめたい人にとってはこれほどよいスタートアップ(事業開始)は無いと思うからだ。
この手軽にカレー屋はじめました の流れが日本の将来に大きな影響を与えるのではとおもったので、それについて書いてみます。
まず、抑えておきたいのは、間借りカレー が受けた理由である。
間借りカレー日本を救う:理由その1
夜、酒を出すお店 スナックや、バー、居酒屋は昼間は殆ど客が来ない、オーナーはなんとか店の稼働率を上げたいと思って昼は定食メニューを作ったりする。そしてできれば夜にも来てほしいと思っている。
しかし昼食マーケットはコンビニの定着でどんどん競争が激烈になっていて、ほとんど儲けがでない。
さらに、料理に特徴がない店では昼食で他店に勝てる要素も殆ど無い。そう考えると安易に「昼も開けよう」というのは無茶な戦略になってしまう。でも少しでも日銭が稼げるチャンスがほしい。これがオーナーの切なる思いである。
そんなオーナーにとっては、ちゃんとした会社が時間制で店を借りてくれるというのなら乗らない話は無い、これが個人対個人の交渉だと、トラブルのときオーナー自身が対応しないといけないので余計な負担になってしまう。その部分を解消してくれるということで導入しやすいのだ。
間借りカレー日本を救う:理由その2
これだけグルメ情報が発信されているなかで、一つの店が特に少ないメニューで長期に渡って客をつなぎとめることは非常に難しい。毎日のように行列ができるような店でないかぎり、店を維持するのは大変である。
それにオーナーになるとシェフは料理のことだけを考えてはいられない、つまり経営という能力も問われるのである。
しかし上手な経営とうまい料理を作る、この2つの能力を持つというのは簡単ではない、
実際アメリカなどではオーナーとシェフがペアになってレストラン事業を展開するのが当たり前。優秀なシェフのもとには絶えず出資者を仲介するスカウトが来ていると聞いたことがある。
この間借りシステムであれば、シェフは家賃や借金返済などの固定費なしで身軽にレストランが運営できる。
数字に追われることなく料理に専念できるという点でとても仕事がしやすいと感ずるのではないだろうか。
間借りカレー日本を救う:理由その3
このシステムを利用すれば、主婦や学生、リタイアあるいはドロップアウトした中高年でも気軽に外食に参入ができる。
日本のマンガが世界を凌駕する理由の大きな要素は、漫画は誰でもペンと紙があれば描けるからである。小さなときから漫画雑誌やアニメに馴染んだ子どもたちが漫画家を目指すのはごく自然な成り行き、その人達が日本では、富士山の裾野がごとく広大になっていて、それ故に頂点も高くなっているのだ。
間借りレストランシステムによって、外食の世界にもこの現象が出現する可能性があると思っている。
間借りレストランとブランドレストラン
たしかにこのシステムが広がることで、今お店を開いて頑張っているオーナーシェフたちにがさらに激烈な競合さらされてしまうかもしれない。
しかし、競争のないところに進化はないのであって、どんな料理でも食べ続ければ飽きられてしまう。
飽きられたくなかったら、質を上げること、そしてもう一つは価格を上げること。
つまり質と価格は正比例させていかないとビジネスは維持できない、それがブランドである。ようするに競争になることを考えたら早くブランド化してしまうこと。
間借りレストランがどんどんできると、プロ(稼げる)料理人になるというハードルがどんどん下がっていく。
料理というのは、素材を見る目、力量と舌、これで実力が試される分野。
未来への不安を流布する人たちは、AIやロボットが人の仕事を奪うというが、この分野は簡単に置き換われないジャンルだ。
その点で日本は大きな可能性を持っている、味の感性というのは子供の頃から何を食べてきたかで決まってきてしまうという。
少なくとも今の日本人の味に対する感受性はまだ世界のトップクラスだ、この特性を活かせるなら料理の分野での日本の存在感をさらに強く示せると思う。
すでに和食の魅力は世界に浸透し始めているが、他の食のジャンルでも世界から注目され、それを魅力として世界から人が呼べるのではないか。
だからこれまで工場で車や機械、ビルや橋、道路を作ってきた人以上に、もっと料理人たちに注目をしてほしいし、そしてされるべきだと思うのである。