以前、2万円を切るような値段で3Dプリンタが発売されていることを紹介しましたが、ではそんなプリンタで一体何を作るの?という疑問を持ってしまう方に、特にハンドメイドを趣味にしていてできれば少しでもお金になるようなビジネスを志向したい方に、こんな提案をしましょう。
まず、作品そのものを3Dプリンタで作るなら、3Dプリンタで使用している材料に目を向けてください。
従来ですと、ABSとかPLA とよばれるプラスチックの素材のフィラメントと呼ばれる(細いヒゴ状のものが巻かれて供給されれている)材料を使って造形をするのが3Dプリンタでした。
最近では様々な素材のフィラメントが販売されていることで、廉価な機種でも従来にない造形の可能性が広がりました。
これらの特殊なフィラメントを使うためには温度が重要でそれなりにノウハウが必要にはなりますが、たとえば弾力性の有るゴム素材や、金属が混ぜられたもの、木材が混ぜられた物も販売されていますので、それらをうまく使えば面白い作品ができるでしょう。
これらの材料を使いこなすには、プリンタ機種選びも大切ですし出力にもそれなりのソフトウエアがが必要になってきます。
次に作品そのものではなく、作品を作るための道具を3Dプリンタで制作してみるというもの。
これによりこれまでできなかったテクニックが実現できる可能性があります。私が多用しているのは型の作成です。
従来粘土や木を削ったり、石膏でつくっていた型を3Dプリンタで作ります。もちろん原型もできますし、型自体も3Dプリンタで作ることができるので、手間やコストの面で大きなメリットがあります。
例えば木で作るとなると、糸鋸やルーター、サンダーなどの電動工具が必要ですし、なにより細かな木屑が発生しますので後始末が大変です、それは粘土からの石膏での型取りでもいえることです。
そう考えるとパソコンと3Dプリンタだけで型制作が完結できるというのは、工房も汚れず、整理整頓でき作業効率も大きく上がります。
作品作りでは様々な道具を使って作業をしますが、その作業を改良できるような治具のようなもの自分で作ってみるという発想も有りだと思います。
私が作った例では、樹脂の8mm径の丸パイプを 15mmに切断したものを50個ほど作ろうしたのですが、そのときにパイプを15mmごと計測して印をつけてカットするのではなく、パイプをその治具に当てると15mmのところにカッターが当てることができる仕掛けのものを3Dプリンタで作りました。するとこの作業はすぐに終わってしまいました。
3Dプリンタが10万円以上するとこんな手軽に小さな道具を作る発想はできませんが、2万円ぐらいならほぼ高価な文具という感覚ですのでいろいろチャレンジしようと思うものです。
こういうことは他の道具では経験できないことだと思います。